こんにちは。鈴木です。
今日も、サイエンスに関するWeb上のサービスやデータベースを紹介していきます。
さて今回は、化学物質の安全性評価に関するデータベースをご紹介します。
今回のソフト/サービス
ご紹介するのは、
・「化学物質ハザード(安全性)データ集」 です。
化学物質ハザードデータ集は、一般財団法人 化学物質評価研究機構が経済産業省からの委託によって、文献調査等による化学物質安全性情報を基に原案を作成し、化学物質審議会管理部会・審査部会安全評価管理小委員会の審議を経て作成されたものです。
なお、全文については、別途、化学物質ハザード・データ集としても出版されています。
テレビや本などで、コレが発がん性が・・・、アレは脳に良くない・・・など聞いたりしますが、実際のところどうなのか、を知りたくなったときにはこのサイトをおすすめします。
使い方
・「化学物質ハザード(安全性)データ集」
をクリックすると、下記のような画面になります。
ここで調べたい化合物の名前をクリックすると要約を見ることができます。
化学物質の物理的性質(融点や引火点など)、化学的性質(加水分解するかとか)の基本情報に加えて、危険性の総合評価、指摘事項が記載されています。
より詳細に知りたい場合は、化合物名の右側にある全文ボタンを押しましょう。
心の優しい方にはショッキングな内容かもしれませんのでご注意下さい。お子様に見せるかどうかは、年齢などを考慮して保護者の方が判断してください。動物実験の結果が記載されています。
例えば、いろんな生物のLD50(Lethal Dose, 50%:半数致死量)が記載されています。
マウスとかウサギのような哺乳類だけでなくて、藻類や甲殻類なんかもあるのが興味深いですね。
反復投与毒性を調べるのだと、当該の化合物を毎日少しずつ与えたときに何日で、死亡するかとか、肝臓に腫瘍ができるか、を調べていたり、
変異原性・遺伝毒性の調査だと、子どもに突然変異が起こるかどうか、とか。
化学物質の与え方にもいくつか方法があって、経口投与、吸入暴露、皮膚や目への塗布などですね。食べさせる(飲ませる)か、気体を吸わせるか、塗るか。
ヒトへの影響についても当然記載されているのですが、基本的には事故で飲んでしまったり、皮膚に付いてしまった後にどうなったか、という事故記録と、もう一つは職業柄その化学物質を慢性的に吸入してしまっていた場合にどうなったか、という医療記録がメインなのですが、ものによってはボランティアに摂取してもらってどうなったか、が記載されているものがあったりします。
例えばパラジクロロベンゼン
もうすぐひな祭りなので、雛人形を出す機会があったのですが、
部屋中にパラジクロロベンゼンの臭いが充満して、しばらくにおいが取れなかったので、
毒性が気になって調べてみました。
3-4カ月間殺虫剤として1, 4-ジクロロベンゼンを家の中で使用していた60歳の男性が、頭痛、下痢、言語障害、体重減少、黄疸を呈し死亡した。解剖の結果肝臓の萎縮がみられ、組織学的に肝細胞壊死を呈していた。さらに、この男性の妻も1年以内に死亡した例がある
なんて書いてあったりするので怖くなりますね。急性の症状も下記のようにありますね。
ヒトで眼、鼻及び皮膚への刺激性と皮膚炎が報告されており、また急性影響として血色素減少症、小赤血球性貧血が、慢性影響として運動失調、言語障害などの神経症状と肝臓や肺への影響がみられている。
う~ん。やっぱりそれなりに身体に悪そうですね。
雛人形を出して、ずっと部屋の中がパラジクロロベンゼン臭い人は注意したほうがよさそうです。パラジクロロベンゼンは気化して飛んでいくので、よく換気しましょう。
もし固体が残っている場合は、箱にきちんとしまって密封しておくのがよさそうですね。
ほかにも沢山の化学物質についての安全性評価が記載されているので、ご興味のある方はぜひ。
written by 鈴木孝一
鈴木 孝一
オキドキサイエンス代表。以前はデータマイニング会社に勤務してました。前職でのスキルを活かし、「Webときどきサイエンス」と題して、サイエンスに関するWeb上のサービスやデータベースを紹介しています。 最近の趣味は、実験キット開発と器械体操・アクロバットです。